arXiv 2025 · with Cluster

LUIDA

商用メタバースを実験基盤に変える

メタバースを使った実験の多くは、実装・参加者募集・実験実施・データ収集がバラバラのツールに分断されている。これらを一つに統合する基盤LUIDAを開発し、実際の実験で検証しました。

メタバース上でオンライン実験をやろうとすると、研究者はワールドを自作し、参加者を別のサービスで募り、実験を回し、データをまた別の場所へ集める——実装・募集・実施・収集がばらばらのツールに分かれ、そのつなぎ目のたびに手間と取りこぼしが生まれます。この分断を一つにまとめられないかと考えて開発したのが、メタバース実験基盤「LUIDA」です。

背景

研究者がメタバース上で実験を行うには、多くの場合ワールド制作の専門知識が必要で、参加者募集から実験実施、データ収集までを別々のツールで管理しなければなりませんでした。これらの分断されたプロセスを一つに統合する基盤があれば、VR研究の再現性と効率が大きく向上するはずです。

リサーチクエスチョン

実装・参加者募集・実験実施・データ収集を統合したメタバース実験基盤は、実際の研究ワークフローの使いやすさと、実験結果の再現性にどのように寄与するか。

研究の方法

商用メタバースプラットフォーム「cluster」上にプロトタイプを構築し、2つの評価を実施。第一に、VR研究者がLUIDAを使って実験を開発・実施し、システム使用性(SUS)と作業負荷(NASA-TLX)を評価するとともにインタビューを実施。第二に、一般のcluster利用者を対象に、各回およそ200名規模の参加者を1週間以内に集めて3つの追試実験を実施しました。

LUIDAのシステム構成図。Web Console、Storage、Implementation Template、Experiment World、Recruitment Worldの5つのコンポーネントとその連携を示す図
LUIDAのシステム構成。(A)Web Console (B)Storage (C)実装テンプレート (D)実験ワールド (E)参加者募集ワールドの5要素からなる(Hu et al., 2025より)

わかったこと

VR研究者による評価では、システム使用性はSUS 73.75、作業負荷はNASA-TLX 24.11で、インタビューでも従来の実験室実験に比べてワークフローが効率化されたという声が得られました。一般利用者を対象にした3つの追試実験では、元の研究と近い結果が再現され、商用メタバースを実験室の代わりに使える見通しが立ちました。技術的な改良を経て、誰もが使えるオープンな基盤として公開する計画です。