with Cluster Metaverse Lab
人生経験交換メタバース
人生の分かれ道を、歩ける場所にする
あなたの人生のターニングポイントを、メタバースの空間としてつくってみる。そこに大切な人を招いて、一緒に歩きながら語り直す。そんな実践を重ねています。
人は自分の人生を語るとき、「あの春」「あの部屋」「あの帰り道」と、いつも場所と一緒に思い出します。だったら、その場所ごと、もう一度つくってみたらどうだろう——「人生経験交換メタバース」は、そんな発想から始まった実践研究です。
背景
人生の転機を語り直すことは、これまで主にカウンセリングや対話といった言葉の営みの中で行われてきました。メタバースを使えば、語りを空間として形にし、その場所に身体ごと入って、大切な人と一緒に歩きながら語り直すことができるはずです。メタバースプラットフォーム「cluster」を運営するクラスター株式会社メタバース研究所との共同研究として進めています。
リサーチクエスチョン
人生のターニングポイントをメタバース空間として表現し、他者とともに歩きながら語り合うことは、本人の経験の意味づけ——物語的自己——にどのような変化をもたらすか。
研究の方法
まず、その人の人生のターニングポイントをインタビューでじっくり聞かせてもらう。次に、その語りをもとにメタバース上の空間(ワールド)を一緒につくる。最後に、できあがったワールドに家族や友人を招いて、ツアーのように歩きながら、当時の経験を語り合う。語りが空間になり、空間がまた新しい語りを生む、という循環を、参加観察とインタビューで記録しています。
わかったこと
この実践から、忘れられない出来事も生まれました。幼いころに親と生き別れた方が、自身の生い立ちを表現したワールドで実際のお母さんと再会し、二人でその空間を歩きながら、過去の思い出を語り直したのです。言葉だけで向き合うにはあまりに重い過去も、一緒に「その場所」に立てることで、違う角度から眺められることがある。身体ごと物語に入れるメタバースならではの現象です。ユーザーのみなさんが人生の転機を表現したワールドはすでに数十件集まり、分身ロボットカフェのパイロットが外出困難な生活から社会と再びつながっていく道のりを表現したワールドもつくられました。展示イベントでは、来場者が「他の人の人生」を歩いて追体験するコーナーも設けています。