Naemura Lab · HCI
Co-Lamp
離れて暮らす人の気配をつなぐ
言葉を交わさなくても、部屋の明かりがそっと重なる。離れて暮らす仲間同士が、互いの暮らしの気配を分かち合うためのランプです。
離れて暮らす友人が、いまどうしているか。それを知る手段はいくらでもあります。メッセージ、通話、位置情報の共有。でも、そのどれもが「わざわざ連絡する」か「監視されている感じ」のどちらかに傾きがちです。Co-Lampは、その間にあるつながり方を探すプロジェクトです。
背景
つながりを支える技術は、共有する情報が具体的になるほど監視に近づき、連絡という手段は相手の時間に割り込みます。負担にも監視にもならない「気配」のレベルで、人はつながりを感じられるのでしょうか。情報の曖昧さを欠点ではなく設計資源として使うことを考えました。
リサーチクエスチョン
部屋の明るさという最小限の情報だけを、誰のものか特定できない形で共有するとき、離れて暮らす仲間のあいだにはどのような経験が生まれるか。
研究の方法
4人の仲間がそれぞれの部屋に小さなランプを1つずつ置き、お互いのランプに仲間の明かりがそっと映し出されるシステムを実装しました。ランプが取得するのは「部屋の明るさ」だけ。あるモードでは、小さな村に建つ4軒の家として各自の明かりが灯りますが、誰がどの家かは1分ごとに入れ替わり、特定はできません。自己エスノグラフィから出発してデザインと調査を往復し、3週間のフィールドスタディで使用の経験を質的に分析しました。
わかったこと
期末試験の朝6時半、「自分しか起きていないはずの時間」に村の家がひとつ光っているのを見て、同じ授業を取る仲間が徹夜で勉強しているのかもしれない、と想像した参加者がいました。「最後の1人になったとき、寝なきゃというより、早く消してあげなきゃという気持ちになった」という語りも得られています。情報が曖昧だからこそ監視にならず、曖昧だからこそ人は想像する——明かりの向こうに、人が宿りはじめるのです。言葉を使わないコミュニケーションの設計として、アバターやメタバースにおける「身体の気配」の研究とも静かにつながっています。