卒業論文 2026 · Naemura Lab
Focus Launcher
Rebuilding the Browser Around Your Purpose
The convenience of doing everything on a single device is also a structure that invites deviation from one's purpose. Focus Launcher uses an LLM to decompose a user's stated work purpose into tasks and dynamically reconfigures the browser environment, presenting only the app elements needed at each step.
(English version in preparation — Japanese text below.)
一台のデジタルデバイスで多様なアプリを統合的に使える利便性は、同時に作業目的と無関係な情報への接触や頻繁なタスク切り替えを誘発し、集中を阻害する要因にもなっています。ユーザーが入力した作業目的をもとに、ブラウザの作業環境そのものを動的に組み直すシステム「Focus Launcher」を提案・実装した研究です。
背景
既存の介入手法は、特定のアプリの利用を外部から制限する行動制約型と、ユーザーの自己抑制を促す内省支援型に大別できますが、前者はユーザーの主体性を損ないやすく、後者は自制心に大きく依存します。いずれのアプローチも、作業環境そのものを作業目的に即して再構成するところまでは踏み込んでいませんでした。
システムの仕組み
Focus Launcherは、ユーザーが「卒業論文の執筆をしたい」のように作業目的を入力すると、LLM(Gemini 2.0 Flash)がそれをタスク単位に分解し、各タスクに関連するツールや情報を提示する専用のホーム画面を動的に生成します。この画面はワークフローが続く間、新しいタブを開くたびに表示され、ユーザーは対話的に「スライド作成サイトも追加して」のような自然言語でホーム画面の内容を修正できます。よく使うページをブックマークすると、次に似た目的のワークフローを始めたときに優先的に提案される仕組みも備えています。一定時間操作がないと、作業目的が変わっていないかをダイアログで確認します。
研究の方法
プロトタイプの実装と二段階の予備実験を通じて課題を抽出し、段階的な改良を重ねました。改良後のシステムを用いて、実験室実験・在宅実験・振り返りセッションからなる三段階の本実験を実施しました。
わかったこと
作業に不要な情報を削減する設計は、作業目的からの逸脱行動の抑制に寄与することが確認されました。また、作業手順を外在化して提示することは作業着手時の心理的ハードルを下げ、進行中でないタスクも常に可視化する画面構成は作業の持続性を高める効果を持つことが示唆されました。一方で、偶発的な発見の機会が減ってしまう可能性や、手順をあらかじめ固定しにくい探索的・創造的な作業では柔軟性を欠くという課題も見えてきました。セレンディピティを誘発する仕組みと抑制する仕組みは、常に表裏一体であることを示す結果です。